美容業界のために、僕ができること。

「美容業界のために、僕ができること。」

札幌美容協同組合 理事長 大野 博繁 氏 インタビュー

 

まずは大野さんご自身の経歴を教えて頂けますか?

美容学校を卒業後、23歳で美容室を創業しました。 3店舗まで増やして、多かったときには1 6人の美容師が在籍していました。しかし、いくら売上がよくても、日々の仕事に忙殺されているだけ。 休みがなくて労働環境もよくない。 このまま続けていっていいのだろうか、と。

ちょうどその時に「札幌美容協同組合」の活動をやり始めて、そこで出会った人たちの考え方に感銘を受けたこともあり、1店舗を当時の店長に譲り、残り2店舗をひとつに統合しました。労働環境を見直し、スタッフの休日を増やしたり社会保険を完備したのもこの時です。

思い起こせば本当に色々な苦労がありましたが、美容師としての現場経験と経営者としての経験は、間違いなく今の組合の活動に活かされていると思います。

「ハサミを置くつもりだった」というお話もありましたが、理事長として組合の活動も行いながら、今も美容師としてお店に経ち続けていらっしゃるんですよね。

知り合いに70代で現役美容師の方がいるのですが、彼は「僕はね、お客さんのカットをしてる最中に死にたいんだよね」とおっしゃっていて。手が動く限りハサミを持ち続ける、と覚悟を決めている彼の姿勢がとてもかっこいいと思ったんですよね。 そんな彼を見てて少しずつ考えが変わっていって。僕も生涯、美容師であり続けたいなと。
R'shair大野現役

「札幌美容共同組合」はどのような組織なのでしょうか?

色々な活動を行っていますが、端的に言うと美容師を守り牽引する団体です。 美容師とお客様、あるいは美容師と行政の間に入ってサポートする役割もあります。
国家資格保持者としての美容師の地位を上げつつ、お客様に十分なサービスを提供するためのお手伝いをする団体ですね。組合についての詳細は、ぜひうちで発行しているパンフレットや動画も見てみてください。
札幌美容協同組合HP
(札幌美容協同組合HP)
https://be-way-hokkaido.net/

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、美容室の営業にも様々な影響が出ていると思うのですが、組合としてはどのような取り組みを行っているのでしょう?

まず組合の美容室に、どのような感染予防対策をしているかアンケートを取って現状を把握しました。その上で組合として新型コロナウィルス感染予防対策の行動指針を示し、指針が守られている美容室には、組合認定の「新型コロナウィルス感染予防対策店ステッカー」を配布しました。

一般の方々にはあまり知られていないのですが、僕たち美容師は衛生管理の知識を十分に持っています。資格を取得する際の国家試験でも出題されますし、美容室を開業する時には保健所の指導もあります。お客様の体に直接触れて施術をする仕事なので、普段から念入りな衛生管理を行っているんです。それにシャンプーの時に水を使っているから美容室内の湿度も保たれているし、美容師はお客さんの後ろ側に立つので対面する時間が少ない。

様々な要因から、比較的感染リスクが低い場所だと考えています。

とはいえ、やはり外出自粛の影響でお客様の数は大幅に減っています。 札幌市の平均では15〜20%減、中央区に限っては40%減〜ピーク時は60%減という月もありました。そこで、クラウドファンディングで美容室を応援するプロジェクト「チョキッとキャンペーン」を立ち上げました(募集は終了)。

30%のプレミア付き美容券を販売して、お客様は普段よりもお得な金額で美容室を利用できる内容です。 美容室側はお客様を呼び込める。お客様と美容室、双方にとってメリットのあるプロジェクトです。 おかげさまで、最終的に4500万円を超えるご支援を頂けました。

先ほどから何度か話に出てきている美容師の労働環境について、現状の問題点と大野さんが考える具体的な改善策を教えて頂けますか?

そうですね……まずは女性の美容師にとって働きやすい環境を作ることが大切だと考えています。全体としては男性美容師の割合が多いのですが、もっともっと女性の美容師が活躍できる業界なんですよね。

でも出産や育児で働ける時間の制約があるから、男性の美容師と同じようには働けない。結果、結婚を機に美容師を辞めてしまう人が多い。

なぜかというと子育てが落ち着いて復帰しようとしても、たとえば1 0年のブランクがあるとしたら、その10年の間にどんどん新しい美容技術が出てきていて、それについていけないんですよね。加えて、自分が働いていたときの過酷な労働環境しか知らないから、現場に戻ってきたがらないというのもあります。でも働きやすい環境がスタンダードになれば、復帰を躊躇している女性も戻ってきやすくなると考えています。
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うちのお店(アルズヘア)では、子どもがいるスタッフは日曜日を定休にし、運動会や参観日などの行事の日はお休みにしています。営業時間も今は9時〜18時ですが9時〜17時にすることを検討しています。

美容師の過酷な労働環境の要因のひとつに「過剰なサービス」があるのではないかと考えていて。お客様のことを優先するあまり、遅い時間まで勤務しなければならなかったり休日がなくなったり、子どもが熱を出しても休めなかったり。そんな状況を変えるために組合が推進できることは、まだまだたくさんあります。来年も組合というイメージを覆すような、どこの組合もやっていないことにチャレンジする予定ですので、ぜひ注目してください。

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[大野氏の経営するサロン ]
R’shair&Face(アルズヘア&フェイス)
~正真正銘の『美髪』に~

当サロンでカラーやパーマに使用する薬剤に関しては多種多様の薬剤を常備しセレクトして最適な薬剤をお客様一人ひとりに合わせてブレンドしています。

毛髪内部から修復し、正真正銘、本物の『美髪』へ導くためにお客様と向き合っています。 痛んだ髪に、無理にパーマやカラーは致しません。

その為髪の状態を見てパーマ ・カラーリング等の薬剤使用のメニューをお断りする事も有ります。 毛髪蘇生に優れたメニューも多数ご用意しております。
R'shair

札幌市厚別区大谷地西5丁目5-15
011-891-8231
定休日/毎週火曜日、第3月曜日
営業時間/受付9:00~
R'shair_QR_HP
【HP】
http://www.rs-hair.com/

 

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